軸足が着く地、として

2026年03月15日

卒業式を前に、以前に書いたものを再掲。

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 これまであたりまえだった日常に一区切りをつけ、親しかった人との別れもある3月。少し緊張しながら、新しい環境へステップを踏み出す4月。新たな一歩を踏み出すためには、そのためのエネルギーが必要であり、残されたもう片方の足がしっかりと地に着いていなければならない。

 管内すべての学校が修了式を行った3月24日。「出発式」と称する催しに参加した折、こんなことを考えた。筆者が参加した出発式とは、さまざまな事情により学校に通うことが難しい子どもたちのために、関係する大人が催したものである。

 釧路市教育委員会は、不登校の子どもたちを支援する事業を実施しているが、その一つに、釧路こども家庭支援センターを拠点にした「ファースト・ステップ・プログラム」がある。平日の午前、子どもたちが集い、スタッフや教育大の学生とともに学習やレクリェーション、ものづくりなどに取り組んでいる。参加する子どもは日によって異なるが、10名を超える日も少なくない。

 出発式に参加して、ファースト・ステップ・プログラムが、子どもたちにとって「学校にかわる居場所」になっていることを確信した。ここに通うことによって得る心揺さぶられる経験と友だちとのつながり、さらに大人との丁寧なかかわりによって育まれる自己肯定感が、この子どもたちの「いま」に必要なのである。そして、言葉で表現されることはないが、彼らが求めているものでもあろう。

 ここで、時間をかけて丁寧に蓄えられたエネルギーは、3月・4月の節目をきっかけにして新たな一歩を踏み出す勇気になるとともに、それを支えるための軸足となる。

 いま、子どもたちの中には、学校ではなく、このような居場所とのつながりを必要とする者がいる。一方、この子どもたちが次のステップとして「学校へ」と歩みを進めるとき、それを包摂し、一人ひとりのあり様を尊重する学校であって欲しいと強く願う。 


(初出 2017.4.2 釧路新聞「巷論」)

2026.2.28 岐阜大学キャンパス
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